こえ・Echo

安邨尚美が開催する勉強会・演奏会のご案内ページ

コロナ禍でのコンサート

昨年2020年11月の終わり、夏山美加恵さん・鈴木美登里さんという、古楽界そしてレベッカ先生の門下としても先輩であるお2人と一緒に、音楽史上最古の多声ミササイクルの1つ "トゥルネーのミサ" を東京・名古屋・神戸で歌わせていただきました。        企画は既にあった中でのコロナウィルス感染症問題の発生で、開催するのか/開催できるのかずっと悩み続け、一時期少し落ち着いていた状況が開催直前になって悪化していく中、本当に最後の最後まで気持ちが張り詰めた状態でのコンサートでした。                              しかし、そのような中でもコンサートを楽しみに、そして心待ちにしてお越し下さり、様々な制約にも進んで協力して下さった多くの聴衆のみなさんに、この素晴らしい中世のミサ曲をご紹介することが出来たことは音楽家として大きな喜びでした。     そして、時期は違うとはいえ、同じ先生に学んだ先輩たちと一緒に歌えたことも、本当に貴重な体験でした。もちろん同じ先生に学んだからと言って何でも意見やアイデアが一致するわけではありませんし、それぞれが学んだ事やその後の音楽活動は違いますから、アンサンブルを作り上げていく大変さ・難しさは常にあります。けれども、レベッカ先生が提唱される"モーダル"な歌い方について先生自身から直接指導を受けた経験に導かれるものもやはりたくさんあって、各自がそれぞれに実践してきた事をぶつけ合いながら、音楽を深めていくことが出来ました。また、同声3人のアンサンブルでのコンサートも私の中ではほぼ初めての経験で、響き作りの上でも興味深く、リハーサルも含めて本当に楽しく学びの多い時間でした。少人数ということもあり、このコロナ禍でも何とか合わせる時間を持つことが出来たのも幸運と言えるのかも知れません。困難の中でも、お2人と歌える機会を持てたことを大切に、そしてさらに多くの人たちに中世の作品を聴いていただけるように、このアンサンブルにまた参加できればと心から願う日々です。                                     歌い手も聴きに来て下さる方々もお互いが安心して音楽を心置きなく楽しめる日が一日でも早く返ってきますように。

 

安邨 尚美